ニュー・アーバニストによる地域開発の手法と
デザイン、プレイス・メイキング、管理(HOA活動)を学ぶ旅
(米国西海岸編)
賑わいのあるまちづくりを、巨匠ピーター・カルソープや
アンドレス・デュアーニ、エリザベス・プラター・ザイバーク
(DPZ)の事例を中心として調査する企画です。
また古くからの街における憩いと息抜きの場所としての
プレイス・メイキングもあわせて調査します。
加えて日本でも注目されつつある、戸建て住宅地における
管理組合(ホーム・オーナーズ・アソシエーション/HOA)の
組織と活動、組合費などもあわせてインタビュー可能な
設定です。
*クォリティー・オブ・ライフ
*サスティナブル
*コンパクトネス
*ウォーカビリティー
*ダイバーシティ ー
をキーワードに、米国西海岸地域の事例を視察します。
デンバーとその周辺
アメリカン・ロッキーの麓、標高1600mのデンバーは、30年以上前からバイオ、航空機などのハイテク産業の一大集積地として栄え、全米から優秀な人材が転入している地域。
そんなハイソな人々が暮らすデンバーとその周辺地域は、デュアーニ・プラター・ザイバーク
(DPZ)事務所およびピーター・カルソープ事務所によるサスティナブルでアフォーダブルなコミュニティー開発事例が数多く存在する地域でもあります。
美しいロッキー山脈の風景と澄んだ空気のもと、脱自動車をうたったコミュニティーを訪ね、
そのコンセプトや設計、販売手法、HOA(住宅管理組合)によるコミュニティー管理などを
学びます。
<視察予定地>
マスター・プランのもと1998年より開発中の全米最大の
サスティナブル・コミュニティー開発事例。
開発面積1900haに、販売価格10万ドル〜100万ドルで
アフォーダビリティーを兼ね備えた12,000戸の戸建ておよび
集合住宅に加え、就労者数3万5千のビジネス商業地区などを 建設中。
全長130kmにもおよぶフット・パス(歩行者および
自転車専用路)、主に地場産の木を20,000本以上植樹する
などの特長を持つ。
エリアごとに異なる住宅デザインは、ナンタケットや
伝統的近隣住区開発をモチーフとし、更にLEED(建築物の
性能と持続可能性を査定する制度)に認証される個人住宅数が
全米トップレベルである点も特徴のひとつ。
またここでは、10棟程度のコモンを囲む住宅で、
個々の住宅の分担とさせるなど、「向こう3軒の良好な関係」
の構築も目指しており、その管理分野面でも参考に値する。
かつての遊園地跡地に開発された11haにおよぶ
アフォーダブルな複合住宅地開発。
ピーター・カルソープ事務所によりデザインされ、
52のシングル・ファミリー用住宅、74のマルチ・ファミリー用
住宅、63のシニア向け住宅、33のコ・ハウジング、
26のリブ/ワーク(オフィス/店舗一体型住宅)など
生活スタイルに即したさまざまな形態の住宅が混在している。
また遊園地時代の遺産として、「カルーセル・パビリオン」、
「シアター」、「正門へのアプローチ(ヒストリック・ウォーク)」を残し
往時を偲ばせている。
コモン広場を中心とした敷地には、フットパスがめぐらされ、
徒歩あるいは自転車での移動を可能としている。
また主に管理組合によるファーマーズ・マーケット開催や
コンサート、ヨガ教室の開催など、住民生活の向上に向けての
さまざまな仕掛けを行っている点が大きな特徴といえる。
このプロジェクトは、ULI(アメリカ都市計画協会)
2007年度のアワード受賞を初め、環境分野の
賞などを数多く獲得している。
デンバーの北西約65kmのロングモント市に建設された
31haにおよぶサスティナブルな伝統的近隣住区開発。
シングル・ファミリー用の戸建て、アパートメント、タウンハウス、
マスター・プランはDPZが担当し、陽光を意識すること、
排水浄化システムの導入、無農薬野菜を作るための農園を
ブラッドバーン・ビレッジ=DPZの複合住宅開発
デンバーの北西約20km、ウェストミンスターの町のはずれの
50haにおよぶ住宅団地。
デベロッパーはコンティナム・パートナー社、
デザインはDPZが担当したこのプロジェクトのコミュニティーの
中心には、6,750uの商業施設と21,000uの
オフィス・スペース、中央広場、350のアパートメントが
グリッドで構成され、180番街通りで分割されるコミュニティーの
南地区には、それとは対照的に大きく3つに分けられる
クルドサック状の住居スペースで構成されている。
こちらでもニュー・アーバニズムの理念が実践され、
コミュニティー・エンドからタウンセンターまでは徒歩5分程度、
するという計画がなされている。
ポートランドとその周辺
ピーター・カルソープを中心としたニュー・アーバニスト達が多数参画して再開発された
オレゴン州最大の都市。中心市街地の再活性化という点では全米トップクラスの
実績があり、MAXとストリートカーという2つのLRTシステムの拡張により、
郊外型鉄道沿線開発が活発に行われてきました。
ポートランド郊外には、「シリコン・フォレスト」と呼ばれるハイテク産業集積エリアがあるため、
早くからアッパー・ミドルの人々がそこに従事してきた経緯があり、それらの層への良好な
住宅地の供給も盛んな地域といえます。
<視察予定地>
コスタ・パシフィック・ホームズ社により開発された
ポートランドを代表する郊外鉄道沿線型大規模複合開発地区。
路面電車(MAX)のオレンコ駅の北部に隣接するエリアに、
住宅、商業施設、オフィス、リブ・ ワークなどを展開する。
「シリコン・フォレスト」地域の中核をなすヒルズボロ市に
開発され、面積は約76haにもおよぶ。
平均的なシングル・ファミリー向け住宅は、
3,680〜4,500平方フィートと小さめで高密度な開発と
温暖化防止技術を多数取り入れている点も評価されている。
1999年NAHBによる「ベスト・プランド・コミュニティー」や
サンセット誌による「ベスト・ニュー・バーブ(新郊外)」など
多数の賞を受賞している。
コスタ・パシフィック・ホームズ社により開発中の
このプロジェクトは、「フランスの郊外の森の村」を
イメージし、500エーカーにおよぶ面積をもつ。
ポートランドの南、ウィルソンビルの街の路面電車(MAX)の
アパートメント、タウンハウスなどが複合的に配置され、
多様性を持たせている。
またかつてこの地にあった障害者施設に入居していた
患者の住宅も、敷地内に配されている。
住宅スタイルも、アメリカン・クラシック、英国風リバイバル・
スタイル、アメリカン・モダンなどの多様性を持つ。
NAHB(全米住宅建設業者協会)の数々のアワードを受賞している。
ポートランド市の東の郊外(車で15〜20分)の地に開発された
アフォーダブルでウォーカブル、そしてサスティナブルな
複合開発地。
「歩いて楽しい街づくり」をコンセプトに戸建住宅や
開発以前より流れる川を活かし、かつフットパスや
ポケット・パークを多用し、歩くことの楽しさを演出。
また市役所、市立図書館、ターゲット(大型生活雑貨店)、
郵便本局などを敷地内に誘致し、居住者への便宜を
かつてA.デュアーニ、E.プラター・ザイバーク(DPZ)
事務所に在籍し、 ケントランドのデザインなどを担当した
デザイナーが、タウン・プランニングを行った。
2001年、NAHB(全米住宅建設業者協会)
「ベスト・スマート・グロース・コミュニティー」など数多の賞を
受けたプロジェクト。
ノブ・ヒル=丘陵地に広がる130年の歴史を持つ高級住宅街とサード・プレイス
市内の西北の丘陵地帯に位置し、ビクトリアン・スタイルや
ジョージアン・スタイルなどの美しい戸建て住宅が、
細く曲がりくねった街路に沿って建っている。
サード・プレイス(住宅、職場に次ぐ第3の居場所)として賑わっている。
シアトルとその周辺
豊かな海産物を供給する青い海と、深く懐の豊かな緑が共存する坂のある美しい街
シアトルは、アメリカ北西部を代表する街。
ここではLOHASな生き方が嗜好され、無農薬野菜を扱ったファーマーズ・マーケットや、
自然とのふれあいを満喫できるハイキング・コースなどが整備され、まさに健康と
地球環境への優しさが重視されています。
郊外にはマイクロソフトやボーイングなどの世界的企業や日系企業も多数立地し、生活レベルは豊かといえます。
ここではピーター・カルソープによるサスティナブル・コミュニティーの事例を視察します。
シアトルの南約80kmの地に1906年、ダイナマイトを中心
とする爆薬の工場をデュポン社が開発した。
この際デュポン社は、英国のポート・サンライトや
「理想郷」の建設を試み、バンガロー・スタイルの住宅を主とした
従業員のためのコミュニティーを造り、大きな評価を得た。
1976年、このデュポン社の工場閉鎖の後、地元最大手
デベロッパーのウェアハウザー社がこの地を買収し、
こととなり、それによりピーター・カルソープが開発プロジェクトに
関与することとなる。
カルソープはラグーナ・ウェストで果たせなかった
アフォーダブルで、ダイバーシブルな歩行者志向の開発の
公共交通機関への依存部分に難があるものの、
近隣住区型開発の好事例としての評価は高い。
イサクア・ハイランド=カルソープによる大規模複合
シアトルの東約30kmの高台の800haにおよぶ広大な
敷地に、カルソープらによって開発が進められている
大規模近隣住区開発。
ウェアハウザー社で、2006年のPCBC(環太平洋住宅産業者
会議)において西海岸地域における「マスター・プランド・
コミュニティー・オブ・ジ・イヤー」部門のゴールド・ナゲット・
高学歴、高収入の人々が多い地区だけに、
出所者のための更正施設もあり、
ニュー・アーバニズムの構成要素のひとつでもある
ダイバーシティも実践されている。
クィーン・アン・ヒル=シアトル市北部の100年の歴史を持つチャーミングなコミュニティー
を登ると、そこはアッパー・クィーン・アンとも呼ばれる
100年住宅が並ぶ素敵な住宅地が続く。
丘を周回する道路を一周すると、ピュージェット湾、
ダウンタウン、ユニオン湖、フリーモントなどが眺望でき、
ここには洒落たレストランやショップ、カフェなどが点在し、
住民が心地よいと感じるサード・プレイス(住宅、職場に次ぐ
第3の居場所)を提供している。
サン・フランシスコとその周辺
北カリフォルニアを代表する都市サン・フランシスコ。
この街を中心としたベイエリアと呼ばれる広域には、ピーター・カルソープやマイケル・
コルベットをはじめとした著名なニュー・アーバニストによる開発事例が存在します。
ここでは愛され続ける街づくり、評価され続けるコミュニティーの管理のあり方などを中心に視察します。
<視察予定地>
同市を代表する高級住宅地。
格子状の街路が特徴のサン・フランシスコの
都市計画にあって、オルムステッド兄弟によって
デザインされたセント・フランシスウッドのまちなみは、
また100年の歴史を持つこの住宅地は、
英国のガーデン・サバーブ(田園郊外)の理念も
取り入れており、全米で最も評価される庭園住宅地のひとつ
にも数えられている。
さまざまな様式の住居を見ることができ、歩道から住居へは、
なだらかな斜面を持つグリーン・ベルトを施すことにより、
まちなみにゆったり感を持たせている。
配して、他との差別化を図った形態は、当時としては
画期的な試みといえる。
田園調布を計画した澁澤秀雄は、ラウンドアバウトをもち、
その開発理念やアーバン・デザイン手法を田園調布の街づくりへ
活かした。
隣接する「ウェスト・ポータル」駅からは、市の中心部へ
ミュニ・メトロでわずか8駅、20分程度で行くことができる。
サン・フランシスコの東の郊外、ハーキュリーズ市に開発
されている職住複合型の伝統的近隣住区開発地域。
かつては火薬工場の城下町だった歴史を持つ敷地を中心に、
中心に4つの地区におよそ300のシングル・ファミリー向け住宅、
150のリブ/ワーク(店舗一体型住宅)、およそ450のアパート
メントなどが、2010年の完成を目指し開発中。
開発(TND)事例に指定されている。
ヴィレッジ・ホームズ=最初のサスティナブル・コミュニティー
“アワニー原則”の起草メンバーであるジュディー・コルベットと
1981年に完成したサスティナブル・コミュニティーの草分け。
あまりにも有名なこのプロジェクトの建設目標は、
1.生態学的に持続可能なコミュニティー
の3点。
広々としたコモン・グリーン(多目的広場)、敷地のあちこちに
食べるために植えられた果樹、どこにでも行けるフット・パス、
住宅の窓は基本的に南から北へ風が抜けるように設置され、
南面の庇は夏の陽光を遮るような長さを持つ、
などさまざまな特徴を持つコミュニティー。
クロッシングス=カルソープのアフォーダブル住宅
サン・フランシスコから南へ車で1時間、シリコン・バレー地域の
マウンテンビュー市にピーター・カルソープ事務所によってデザイン
併せ持つ複合住宅地の典型。
開発面積7.3haに戸建て・集合あわせて359戸が建設
されており、密度はかなり高めの住宅地といえる。
タウンハウス地区、その南にはコモン・グリーンをもつ戸建て
住宅が建ち並ぶ。
同駅からサン・フランシスコへは、およそ1時間弱の距離。
このプロジェクトは、米国におけるスマート・グロース・
プロジェクトの一例としても名高い。
1.都市のアイデンティティーとコミュニティー意識の醸成
2.既存インフラの保全と増強
3.自動車削減のための開発・交通計画(TOD)
4.歩行者中心の環境づくり
6.ミクスト・ユースなど多用な住居形態の導入
7.オープン・スペースの創出によるコミュニケーション機会の
提供
8.自然との共生、環境と開発の適正なバランス
9.省エネ、省資源、持続可能性の追求
10.コミュニティー、NPO、行政、開発業者の協働によるまちづくり
(神戸芸術工科大学、環境・デザイン学科、准教授 佐々木宏幸先生ご提供)
<視察日程イメージ>
第1日)
航空機にてデンバー到着 (デンバー泊)
第2日)
終日:プロスペクトNT(デンバーから約65km)、ブラッドバーン・ビレッジ視察 (デンバー泊)
第3日)
終日:ハイランズ・ガーデン・ビレッジおよびステイプルトン視察
夕方:航空機にてシアトルへ移動 (シアトル泊)
第4日)
終日:ノースウエスト・ランディング(シアトルから約80km)視察 (シアトル泊)
第5日)
終日:イサクア・ハイランド(シアトルから約30km)とクィーン・アン・ヒル視察 (シアトル泊)
第6日)
午前:航空機にてポートランドへ移動
午後:フェアビュー・ビレッジおよびノブ・ヒル視察 (ポートランド泊)
第7日)
終日:オレンコ・ステーションおよびビレボア視察 (ポートランド泊)
第8日)
午前:航空機にてサン・フランシスコへ移動
午後:クロッシングスおよびセント・フランシスウッド視察 (サン・フランシスコ泊)
第9日)
終日:ハーキュリーズ(SFより約40km)および
ビレッジ・ホームズ(SFより約115km)視察 (サン・フランシスコ泊)
第10日)
午前:帰国の途へ
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