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アムステルダムの集合住宅の変遷と再生を見る

 

  オランダの国土はわが国の九州とほぼ同じサイズですが、その1/4は水面下。 堤防がなければ水没する危険が常にあることにより、国民同士が協力し合い「干拓と治水」によって水害と戦ってきた経緯があります。

 これらのことが原因で、人種や宗教を超えた独特な平和主義が創出されたとも言われ、住宅の分野においては、集住、共有の理念が根付いてゆきました。

 また1902年に公布された住宅法、オランダ近代建築史上最も重要な役割を果たした建築家、H.P.ベルラーヘ、20世紀を通して積極的に建設されていった「ソーシャル・ハウジング(社会住宅)」の普及の3要素が、オランダが集合住宅の宝庫となる礎となったとも言えるでしょう。

 近代アムステルダムにおける市街地の形成を時代区分別に見てみると、

 1.H.P.ベルラーヘの南部拡張計画

 2.アムステルダム総合拡張計画

 3.ニュー・タウン政策

 4.コンパクト・シティ政策による都市再生

に分類することができます。

 1989年、これまで主流だった賃貸から所有へと

住宅政策の方向転換がなされたことにより、

多様なニーズに応える都市型住宅が開発されることとなり、

アムステルダム港湾地区の旧倉庫地帯などの再開発に続き、

現在はその更に東のアイブルクにおいて、

タウンハウスをはじめとした数々の集合住宅が

開発され続けています。

 限られたスペースにおいて、いかにインフィルに個性を

出すとこができるか、コモン・スペースはどうあるべきか、

とりわけ低所得者向け集合住宅において、

住民がそこに住まうことへの誇りの創出はどうするべきか、

などこの100年におけるオランダの住宅の変遷を

見ることにより、これからの日本の集合住宅建築のあり方や

再生のヒントを得るこができるのではないでしょうか。

 集合住宅の変遷団地の再生都市型住宅開発など

アムステルダムを中心とした地域には、

集合住宅の参考事例がキラ星のごとく存在します。

 皆様もぜひ確かめに出かけてみませんか?

 アムステルダムの都市計画とベルラーヘの役割

 オランダの建築史上、最も重要な役割を果たした

ヘンドリック・ペルトス・ベルラーヘ(1856〜

1934)は、アムステルダムやハーグなどの都市計画・

都市改造計画を立案したことで有名。

 ベルラーヘの「アムステルダム市の南部地区拡張計画」は、

それまでの無秩序な街区、無機的で画一的な集合住宅でなく

運河、街路、公園やコモン・スペースに加え、多様性のある

集合住宅を複合的に配置するというスタイルをとった。 

 アムステルダム南部の「ヴィクトリー広場字交差」に 

代表される都市デザインでは、

 1.多様性の中の統一(単身者、夫婦、低所得者向け  

   住宅の一体化)

 2.ピクチャリスク、モニュメンタルの融合

   が図られた事例として有名である。

 

 デ・ダヘラート集合住宅

 アムステルダム派を代表するP.L.クラメル、

M.デクラークの設計による煉瓦を自在に使いこなした

主に低所得者向けの集合住宅。 

 ベルラーヘのヴィクトリー広場から北へ約500m、

アムステル運河沿いに建つこの集合住宅は、   

1923年に完成した6階建て294軒のプロジェクト。

 デ・ダヘラートとは、“夜明け”を意味し、

通りを曲がる毎にその姿を変える多彩で斬新な街並みと

建築デザインが魅力で、

住民の“ここに住むことへの誇り”を創出したことでも有名。

 アムステルダム派の代表作で、

1980年には大規模改修工事が行われた。

 

 エイヘンハールト集合住宅

アムステルダム中央駅から北西へ約1km、列車操車場の

脇に建つM.デクラーク設計の低所得者向け集合住宅。

 こちらもデ・ダヘラート同様煉瓦をふんだんに使い、

その組み方や形状の変化、緩やかな曲面の創出、

更には貝、ヒトデ、魚の骨など海をイメージさせる装飾を

数多く施すことにより芸術性を高めている。

 1928年に完成し、3街区より構成され、

102戸の住居、小学校、集会場、郵便局

(ミュージーアム・ヘト・ショップ)

などがあり、北西角にはこの建築物の象徴でもある

“デ・クレルクの塔”が聳える。

 大型船を連想させるその外観から「ヘト・シップ」

の愛称で親しまれている。 

 アムステルダム派の最高傑作のひとつ。

 東部湾岸地区再開発

アムステルダム中央駅の東、かつての港湾倉庫地区の

KNSM島、ボルネオ・スポーレンブルクに1988年より

開発された大規模複合再開発。

 ヨー・ヨークネンがマスタープランを担当した

KNSM島のランドマークは、島の東端に建つ彼設計による

円形の集合住宅「エメラルド・エンパイア集合住宅」。

 一方ボルネオ・スポーレンブルクは、オランダの

建築家集団“West8”がマスタープランを担当した。

1階部分の天井高3.5m以上、1haあたり

100戸という高密度な低層集合住宅、という難題を、

“京都の町屋のようなうなぎの寝床状のタウンハウス”を

プロデュースすることで解決し、またデザイン・

コードの厳格化、運河へアクセスを図ることなどにより、

その価値を高めることに成功した。


 100戸の高齢者用集合住宅オクラホマ

 アムステルダムの西の郊外、1950〜60年代に

作られた“ウェスタン・ガーデン・シティ”の一角に、

1997年に完成した「オクラホマ」は、

オランダの建築デザイン集団MVRDVの設計。

 87戸しか建設できない敷地に、大胆にも巨大なカンチレバーを

用いることで100戸の集合住宅を創出することに成功した。

 東西軸の北面の片廊下から最大11.3mと、

大きく外部にせり出した13戸の住宅は圧巻。

 また南面はオレンジや青などの

カラフルなアクリル板で飾られたバルコニーがあり、

こちらも独特な雰囲気を醸しだしている。

 アイブルク

 慢性的な住宅不足のアムステルダムにあって、

2000年より開発が進められている住宅開発地区。

 アムステルダムの中心から東、KNSM島のさらに東の

アイブルク湖に浮かぶ7つの人工島(埋立地)から

構成される。

 時間的な制約により、効率よくデザインできる

という点で、グリッド工法を採用し、

将来ベッドタウンといった単一機能の

街としないよう、オフィスビルやショッピングセンターなど

複合的で独立性のある街づくりを推進している。

 12年工期で約18,000世帯、45,000人がこの新しい

住宅地に居住する予定。 

 

 さまざまな団地再生プロジェクト

 アムステルダムの団地再生というと、「ベイルマミーア」のような

巨大団地の再生プロジェクトが有名だが、市内各所にある

老朽化した団地の再生も活発に行われている。
 これらの団地には、日本の70年代に建てられた

“5階建てエレベーターなし”スタイルの建物と

ほぼ同サイズの建築物も数多く存在し、

高層大規模団地の再生より、 

むしろこの規模の団地の再生を視察するほうが、

参考になるケースも多いと思われます。

 

 =コンプレックス50

 アムステルダム中央部から西、“ウェスタン・ガーデン・

シティー”の一角に建つこの団地は、表通りに面した

老朽化した建物を取り壊し、そこへ新規の10階建て

集合住宅5棟を建設することで新たな収入源を確保。

 また表通りから離れて建つ建物には、既存の5階建て

部分の屋上へ、更に木造で2階分新規に住宅を上乗せして

テラスハウスとして住居数を増やすという

大胆な手法を取っている。

 また新規にエレベーターの設置に伴い、片廊下を増設、

棟によっては団地の1、2階部分の一部をピロティ化し

通り抜けできるようにすることで

人の導線の創生とともに犯罪の防止にも寄与している。

 

 =デュドックハウス=

 アムステルダムの西部、アールベルセ通りに面して

1920年代に建築家デュドックにより設計された戦前の

社会住宅の典型。

 L字型に配置された6区画から構成され、  

住戸面積平均は約60㎡で当時の社会住宅としては

ゆとりある面積と言える。

 4〜6階建てが中心のこの団地では、

住宅供給公社によりL字型配置を損なうことなく

エレベーターの新設、片廊下スタイルへの変更、

洗濯室などが設けられていた屋根裏階を廃し

新たに居住室へと変更、

外壁を美しく磨き上げるなどのリノベーションが

なされた。

また建物が取り囲むコモンも美しく再整備されている。

 =ハールレンメル地区の集合住宅

 アムステルダム中央駅のすぐ西、目抜き通りの

ハールレンメル通りに沿って、オランダの有名な

建築家ユニット、クラウス&カーンにより

デザインされたプロジェクト。

 この集合住宅の特徴は、表通り側に玄関は設けず、

人の出入りはすべて裏手の解放されたコモン・

スペース側から、という点。

 また旧来のオランダの伝統的マテリアルである

煉瓦を用いたタウンハウス型集合住宅と、

リニューアルされ、白く外壁を塗られたタウンハウスが

一体となって配置され、そのコントラストが非常に愉快である。

また1本裏には、昔からの個人商店やレストランが建ち並ぶ

商店街があり、古きよき時代の街の姿がよく残されている

好事例といえる。

 

 

 

 

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